多くの人に選ばれたいから、ペルソナを考えたくない!?
カケハシ・スタイル代表で中小企業診断士の田中大介です。
『小さな会社・お店のためのやさしいマーケティング学』と題して、マーケティングやブランディングについてできる限り分かりやすく紐解いていければと思います。
前回は、ペルソナを考えることで、提供価値が定まり、結果として選ばれるビジネスモデルを作れるようになることをお伝えしました。
ペルソナの話をすると、よくこう言われます。
「ターゲットを絞ってしまって大丈夫でしょうか?色々な人に来てもらいたいんですけど。」
実際には、ペルソナを考えることで、結果として色々な人に来てもらえるようになります。
なぜでしょうか?
引き続き、FrancfrancとSoup Stock Tokyoを例に考えていきます。
FrancfrancもSoup Stock Tokyoも、どちらのペルソナも年齢がずばり設定されています。
ペルソナを考えてもらうと、大抵の場合、「30代~50代の女性」といった回答になります。
その時、私はこうお伝えします。「そうすると、31歳の女性も59歳の女性もターゲットとなりますね。」
親と子ほど離れた女性を一緒にターゲットとしてしまっているわけです。31歳の女性と59歳の女性とは、ニーズがきっと異なるはずです。
例えばネイルサロンを創業するとしましょう。31歳の女性を考えた場合、ファッションを楽しんでいて、流行のネイルにしたいかもしれません。
一方で59歳の女性は、子育ても一段落し、ネイルをしながらの会話などの体験価値を重視するでしょうし、ネイルも落ち着いたデザインだけど、質の高いものを好むかもしれません。
私は、ずばり何歳かを決めてください、とお伝えします。31歳か、36歳か、44歳か、58歳か。
ペルソナの目的は、提供価値を考えるためです。価値とはニーズに応えることです。
ターゲットが絞れていないということは、ニーズも絞れていないため、商品・サービスもふんわりしたものとなってしまいます。
提供価値がぼやけるため、選ばれづらくなります。
年齢を決め、その人の生活シーンを想像することで、ニーズが具体的に見えてきます。
「こんな風にしてもらえたら嬉しいだろうな」「こんな困りごとを持っているんだろうな」など、具体的に想像できるはずです。
そうすると、どんな商品・サービスにするべきかが見えてきます。
商品・サービスが尖ったものになるはずです。
ターゲットを一人に絞ることで、ニーズが具体的にイメージできるようになり、その結果、商品・サービスが尖ります。
ここが大事なところなのですが、そうすると、結果として多くの人に刺さり、多くの人に選んでもらえるようになります。
Vol.1からVol.10までの記事はこちら。
- 【Vol.1】そもそもマーケティングとは何か? マーケティングの定義を考える。
- 【Vol.2】マーケティングの重要キーワード「提供価値」について掘り下げてみる。
- 【Vol.3】吉野家はなぜ選ばれているのか?
- 【Vol.4】提供価値を「モノ」と「コト」の2軸で考えよう
- 【Vol.5】顧客は、モノとコトのどちらで選んでいるのか?
- 【Vol.6】提供価値づくりフレーム。誰でも「提供価値」が考えられる!?
- 【Vol.7】そもそもブランディングとは何か?
- 【Vol.8】そもそもビジネスモデルとは何か?ビジネスモデルを簡潔に定義する。
- 【Vol.9】ビジネスモデルを考えるフレームワーク「価値づくりシート」
- 【Vol.10】ペルソナを考える目的とは?