「くくり直し」の大切さ
中小企業診断士の田中大介です。
日経MJ記事「観光列車 なぜ増える?」の中にあるJR九州社長の言葉をピックアップします。
JR九州と言えば、豪華寝台特急ブームに火をつけた「ななつ星in九州」でお馴染みですね。
当時のJR九州の唐池恒二社長は「新しい鉄道の旅をつくる」と言い、列車が移動手段ではなく、乗ること自体が旅の目的というスタイルを打ち出しました。
寝台特急「ブルートレイン」は新幹線などに客を奪われ廃止されましたが、もっと非日常の旅空間にはニーズがあると読んだのです。
「新しい鉄道の旅をつくる」ってのがカッコ良いですよね。
「移動」と捉えると、より早く、より安く、より便利に、といった発想となり、激しい競争にまきこまれます。
そうではなく、「列車の中で過ごす豊かな時間」として捉えてみる。
ここに競争は生まれません。なんと、3泊4日で38万円!
「お客さまのその行動はそもそもどういうことなのか?」という風に自分たちに問いかけ、くくり直してみる。共感を得る新サービスを生み出す上で大切なことだと考えています。
弊社が行っている中古CDネット販売業でも、「くくり直し」を今まさに行っています。
中古CDの販売は「買い取り」が生命線なのですが、競争が激化しています。「20%UPキャンペーン」が常態化していて、最近では「25%UP」や「枚数に応じてさらにボーナス進呈」などが登場しています。
「CDをお金に換える」と捉えているだけでは、価格競争に終始します。なんだかつまらないし、豊かではないなぁ、と思います。
では、CDを売る、ということは、そもそもどういうことなのか?
売っていただいたCDは、弊社のショップを通して、全国のリスナーに渡り、リスナーの音楽ライフの豊かさに貢献します。
「CDを売る」ということは、「リスナーをサポートする」ということなんですよね。
そう括ってみると、今までと違う発想が生まれます。新たなサービスとしてデザインし直し、今後、「20%UPキャンペーン」は止めます。
「お客さまのその行動はそもそもどういうことなのか?」と考え、くくり直してみる。みんなでそう考えていけば、社会はきっともっと豊かになるはずです。