ファクトリーブランド人気から考える、これからの商いのスタイル
中小企業診断士の田中大介です。
本日の日経MJより気になった記事をピックアップします。
ピックアップするのは「工場発ブランド躍進」という記事です。
大手アパレル各社の販売が振るわないのとは対照的に、下請け工場が独自に立ち上げた「ファクトリーブランド」が好調だ。
衣料品の低価格化によってアパレル会社が生産拠点を海外に移した結果、陥ってしまった国産比率わずか3%という産業の「空洞化」。
そんな厳しい外部環境の変化の中で生き残りを掛け、日本のものづくりの誇りとともに下請け縫製工場が立ち上げたのが「ファクトリーブランド」です。
「この品質で、この価格はお得」というコストパフォーマンス面に目が行きがちですが、選ばれているのはただ単にコスト面だけではないでしょう。
記事の中でも「消費の成熟度の高まりの反映」「内容の濃いものが求められる」と書かれていますが、まったく同感です。
「内容の濃いもの」というのは、「ストーリーのあるもの」という風に解釈できるでしょう。
伊勢丹メンズ館などのこだわりのあるセレクトショップへと出かけ、アパレル不況の中で狼煙を上げる気鋭の下請け工場の意気に共感し、そんな「場」や「共感」への対価としてきちんとお金を使う。
そんな、「モノ」が生まれてから購入する体験までを含めてストーリーとしてとらえて、そこにお金を払う消費スタイル。
ネットでの購入は便利ですし、ユニクロや無印などはハイコストパフォーマンスですが、便利さや低価格に慣れ、別の価値観を求める消費者がきっと増えているのでしょう。
百貨店で上質なモノと出会うという「体験」、作り手のストーリーへの「共感」、そういったグッとする「コト」とともに、愛着を持って「モノ」を使っていく。
そんな豊かな消費&生活スタイルを提案していくことが、これからの商いにはこれまで以上に求められていくはずです。