経営は、強みが複利で伸びていく営み。中小企業が新たな一歩を踏み出す前に大切なこと
こんにちは、カケハシ・スタイル代表で中小企業診断士の田中です。
「新しい取り組みを考えたい」「経営革新計画を作りたい」というご相談を、現場で多くいただきます。
そんなとき、私が大切にしている考え方があります。
経営は、強みが複利で伸びていく営みである。
新しい一歩は、いきなりゼロから生まれるものではありません。すでに自分たちの中にある強みの上に築かれていく。そして、その一歩が、また次の強みを連れてきます。
今日は、最近の支援現場から3つのケースをご紹介しながら、その意味をお伝えします。
経営は「複利」で伸びていく
複利とは、利息が利息を生み、雪だるま式に資産が増えていく仕組みのことです。
経営も同じだと、私は思っています。
ひとつの強みを活かして、新しい取り組みに挑む。その取り組みが、また次の強みを生む。そうして育った強みが、さらに次の一歩へとつながっていく。
つまり、「強みが強みを呼ぶ」循環が、経営の本質です。
だからこそ、新しい一歩を考えるときに大切なのは、まずすでに自分たちの中にあるものを、丁寧に言葉にしていくこと。
それでは、現場のケースを見ていきましょう。
ケース1:カラー&ヘッドスパ専門店 ―まずは「今ある強み」を見える化する
複利を生み出すには、まず「元手となる強み」がどこにあるのかを把握する必要があります。
先日、カラーとヘッドスパの専門店を営む方の経営革新計画の策定をサポートしました。
経営革新計画の1回目の支援では、いきなり「新しい取り組み」の話には入りません。まずは現状を、一緒に見える化することを大切にしています。
どんなメニューがあるのか。どのメニューが人気なのか。どんなお客さまが利用しているのか。お話を聞いていくと、いろいろなことが見えてきました。
7割のお客さまが、カラーとヘッドスパを組み合わせたメニューを利用している。客層は40〜60代の女性で、頭皮や髪のお悩みを抱えている方が多い。髪に優しいカラー剤、エイジングに特化したシャンプー。1日3名限定で、1人あたり3時間ほどかけてゆったりと丁寧に。
つまり、お客さまは「白髪を染めること」だけを求めて来ているのではないのです。白髪を染めながら、頭皮や髪の悩みもケアしてもらえる。しかも、ゆったりとした空間で、丁寧に。 ここに、このお店の強みがありました。
この強みをさらに伸ばせないか? もっと伝える方法はないか?
そういった方向で新たな取り組みを考えていくことが大切です。
ケース2:整骨院 ―「想い」から強みが生まれる
強みは、表面的な技術や設備だけではありません。経営者の「想い」から派生して、いくつもの特徴が育っていくものです。
別の現場では、3代目の整骨院の経営者の方と経営革新計画をご一緒しました。
ヒアリングのなかで、とても印象的な言葉がありました。
「痛みを取ることがゴールではなく、痛みによってできなかったことが、できるようになることが目的です」
患者さんに丁寧にヒアリングをして、「何ができるようになりたいのか」を引き出すところから施術が始まる。骨盤矯正、分子栄養学、東洋医学的アプローチ。技術の勉強会にも積極的に参加されている。
その根っこには、「その人の人生に関わっていきたい」という想いがありました。
- 大切にしている想い
- それが表れた商品・サービスの特徴
- お客さまのハッピー
私が強みを整理するときに大切にしているのは、ひとつの因果関係です。
整骨院の例で言えば、「その人の人生に関わりたい」という想いが、「根本原因の追究」「毎回の検査」「セルフケア指導」という特徴を生み、「諦めていたことが、またできる」というハッピーにつながっていく。
この因果関係が言葉になると、新たな取り組みを考える土台ができます。「自分たちは何を大切にしているのか」「だからこそ、どんな価値を届けられるのか」。そこが明確であれば、次の一歩はぶれません。
ケース3:そば店 ―ひとつの投資が、いくつもの強みを連れてくる
3つ目は、地域に長く愛されるそば店のケースです。「新たな取り組みの方向性を考えたい」というご相談でした。
このお店では、2年前にお店の隣に自家製粉所を設立されたそうです。そこで、「何が変わったのか」を丁寧にヒアリングしていきました。
お話を聞き進めるうちに、たくさんのものが見えてきました。
- そばの香りと風味が格段にアップ。挽きたての粉で、劣化しないそばを日々提供できるようになった
- 玄そばを真空して冷蔵できるようになり、地元産のそばを通年で出せるようになった
- 製粉所をつくった熱意やこだわりが伝わり、全国の人気店の職人さんとのつながりが生まれた
- 勉強会への参加など、学び続ける機会も増えた
- 全国20ヶ所ほどの生産者さんから直接仕入れられるネットワークも広がった
ひとつの設備投資が、これだけ多くの強みを連れてきていたのです。
次に考えるべきは、この強みを活かすことで、新たな価値提供ができなか?
利息が利息を生むように、強みが強みを呼ぶ。これが、複利で伸びていく経営の姿です。
強みを言葉にしないと、複利は始まらない
ここまで3つのケースを見てきました。共通しているのは、強みを丁寧に言葉にしているということです。
日々の営業に追われていると、自分たちが積み上げてきたものは「当たり前」になり、見えにくくなります。設備投資ひとつとっても、「モノを買った」という事実で終わってしまいがちです。
でも、本当はその先に、いくつもの強みが育っているはずです。
それを言葉にして初めて、強みは次の一歩を支える「使える資産」になります。Webサイトのメッセージにも、新商品の開発にも、採用にも、補助金の計画書にも、すべての土台になっていきます。
ぜひ、皆さんも一度立ち止まって、「この数年で、自分たちにできるようになったこと」「お客さまに喜んでいただけていること」を、あらためて言葉にしてみてください。
次の一歩は、きっとその先に見えてきます。
カケハシ・スタイルにご相談ください
カケハシ・スタイルでは、中小企業診断士 × ブランディングディレクターの視点で、御社の強みを丁寧にヒアリングし、言葉にしていきます。
そして、その強みを伝えるWebサイトやパンフレットなど、制作までワンストップで承ります。
「新しい取り組みを考えたい」「自社の強みを整理したい」「経営革新計画を作りたい」とお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。