ブランディングのポイントと中小企業のブランディング事例
こんにちは、カケハシ・スタイル代表で中小企業診断士の田中です。
弊社は、ブランディング視点でのWebや販促ツールの制作をウリにしています。
ブランディングのポイントについて整理してみたいと思います。
■『らしさ』が100%伝わっているカタチをつくること。
弊社では、ブランディングとは「『らしさ』が100%伝わっているカタチをつくること」と定義しています。
「らしさ」が、ターゲット顧客に伝わっている状態があるべき姿であり、そのための取り組みがブランディングです。
「らしさ」とは、「理念 × 提供価値」と考えています。
理念(WHY): なぜこの事業をしているのか?社会にどのように貢献したいのか?
提供価値(WHAT):どのような価値を提供するのか?顧客は何によって幸せや満足を得られるのか?
ブランディングは2つのステップに分けられます。
- 「らしさ」を整理し、言葉にする。
- 「らしさ」を一貫して伝える。
■ 理念とは?
弊社では、理念とは『社会の中での存在意義。どう社会に貢献するか。その想い。』と定義しています。
なぜ事業をしているのか、という根本的な目的を示すものです。
私が好きな理念を例に、理念について具体的に考えていきます。
とてもシンプルな言葉ですが、目的が明確化されています。
世の中を明るくすることが目的であり、焼鳥を提供することは手段である、ということですね。
「世の中を明るくするためには、どんな焼鳥屋であるべきか?」
常にそこを考えながら、事業コンセプトを考え、サービスをデザインしていったはずです。
それが「鳥貴族らしさ」につながっている。
このように、理念は『らしさ』の源流となります。理念を定めることが、ブランディングの最初の一歩です。
■ 提供価値とは?
「提供価値」とは、ウリであり、選ばれる理由であり、「何によって、どうハッピーになるのか」を示すものです。
吉野家を例に、提供価値について考えてみましょう。
お昼に「あまり時間がないけど、がっつり食べたい」という時に、ササッと吉野家に寄ることがよくあります。
いつもたくさんのお客さんで混雑しています。吉野家はなぜ選ばれているのでしょうか?吉野家の提供価値は何でしょうか?
皆さんに浸透しているフレーズがあります。 「はやい、やすい、うまい」ですね。
その提供価値を知っているから、私たちは吉野家を選んでいる、と言えます。
財布に600円しかなくて、時間が20分しかない、すごくお腹が空いている、という時、吉野家がこの状況を解決してくれることを知っています。
逆に、入りづらいお店は、なぜ、入りづらいのか。
それは、そのお店の提供価値が分からないからだと考えます。
「どんな商品・サービスで、どう自分がハッピーになるのか」、それが分からない。
だから、顧客に選んでもらうためには、店名や看板や店構えなど全体で提供価値を伝えないといけない。 チラシなどで提供価値を伝えないといけない。
その行動のすべてがブランディングであるわけです。
■ マーケティングとブランディングの関係とは
マーケティングとブランディングという2つのキーワードがあります。
その関係はどうでしょうか?
弊社では、マーケティングは次のように定義しています。
「顧客に選ばれ、選ばれ続ける仕組みづくり。」
その仕組みづくりのための重要な手段がブランディングとなります。
マーケティングを成功させるうえで、自社の「らしさ」を軸に顧客から共感を得るランディング活動が欠かせません。
マーケティングの一つの手段がブランディングと言えます。
■ 提供価値を考えるポイント
提供価値は、モノとコトの2つの軸で考えると分かりやすいと考えています。
モノは「商品・サービスのウリ」、コトは「ハッピーなこと、豊かなこと、ワクワク感」です。
スターバックスを例に考えてみましょう。皆さんはスターバックスをどんな時に利用するでしょうか? どんなニーズで利用するでしょうか?
スターバックスの価値をモノとコトで分けると、下記のように整理できます。
私もスターバックスをよく利用しますが、コーヒーを飲みにいく、というより、仕事と仕事の合間に寄って仕事をしたり、休日に本を読みに行ったりすることが多いです。
モノではなく、コトの部分でスターバックスを利用しているわけです。
スターバックスは、自分たちの提供価値を明確に定めています。「第三の場所(サードプレイス)」です。
創業時に、自分たちの価値は「自宅、会社・学校に続くサードプレイスになること」なんだ、と定めていたそうです。
スターバックスはアメリカからスタートし、日本をはじめ、全世界に広がっていますが、決してコーヒーの価値だけでなく、「サードプレイス」としてのコトの価値によって選ばれたと言えるでしょう。
弊社のある埼玉県でスーパーと言えば、「ヤオコー」が有名です。
ヤオコーは提供価値を「豊かで楽しい食生活提案型スーパーマーケット」と定めています。
ただ食品や日用品を仕入れて売るのではなく、自分たちは食生活を提案することが役割なんだ、ということですね。
ヤオコーのチラシを見ると、季節にあわせて、こんな料理はいかがですか?と提案するスタイルになっています。
ただ単に食材の価格を訴求するチラシにはなっていない。
店内でも、料理の提案がいたるところにあって、とてもワクワクします。
ヤオコーは、この提供価値によって、顧客から共感を得て、選ばれ、選ばれ続けていると言えるでしょう。
みなさんの会社・お店の提供価値は何でしょうか?
吉野家の「はやい、やすい、うまい」、スターバックスの「サードプレイス」、ヤオコーの「豊かで楽しい食生活提案型スーパーマーケット」のように、提供価値を明確に言葉にすることがブランディングにおいてとても大切です。
■ 提供価値を考えるフレームワーク
ずばり、このフレームに当てはめて考えることで「提供価値」を考えることができます。
□□を売っているのだ。
□□を提供しているのだ。
弊社は、カケハシ・レコードという音楽CDのネットショップを20年以上運営しています。
「20年以上、長く続けられている理由は」と問われれば、「提供価値が明確化されているから」と自信を持って答えられます。
カケハシ・レコードの提供価値を先程のフレームに当てはめるとこうなります。
ロック探求のワクワク感を売っているのだ。
今から15年ほど前にこの提供価値を定めました。ここから事業がガラリと変わりました。
「ロック探究のワクワク」を売るってどういうことだろう?と全てのことをその視点で考え直しました。
「ただ入荷情報を発信しているだけでは、探究のワクワクにはつながらないな。そうか、○○が好きな人にオススメの作品5選、のように提案スタイルにしよう。」などと新たなアイデアを次々に生まれ、サイト自体、ブログやSNSでの発信内容がすべて変わりました。
お客さまには「普通のCDショップとは違う」「新しい音楽と出会えた。毎日、サイトに行くのが楽しみ」「SNS、楽しみに見ています」といった声を多くいただけるようになり、ファンで居てくれる人が増えた結果、今も事業を続けられていると思います。
提供価値を定めることで、事業が尖り、その結果、顧客に響き、共感を得て、ファンづくりにつながり、「選ばれ、選ばれ続ける」状態をつくることができます。
弊社は、カケハシ・レコードでの取り組みを通して、提供価値の大切さ、その力を信じています。
株式会社カケハシ・スタイルの提供価値も定めています。
フレームに当てはめるとこうなります。
私たちは、デザインを通して、「らしさ」が伝わるかたちを提供しているのだ。
自分たちは、ただツールを作るのではなく、『らしさ』を伝えることに力を注がないといけない、そのために何をするべきか?どんな知識、ノウハウが必要か?など、スタッフといつも話しています。
「私たちは○○を売っているのではない、□□を売っているのだ。」 「私たちは○○を通して、□□を提供しているのだ。」
このフレームに当てはめて、是非、みなさんの会社・お店の提供価値を言葉にしてみてください。
■ 「提供価値」を顧客とのコミュニケーションのすべてで一貫させる。
「らしさ」を整理し、言葉にできたら、「らしさ」を一貫して伝えことが大切です。
ホームページもパンフレットも商品・サービスのチラシもパッケージも、すべて「らしさ」を伝えるための手段です。
そうした「手段」と考えず、ロゴやホームページやパンフレットを作ることが「目的」となるとうまくいきません。
「ロゴはこんな感じがカッコいい」「パンフレットはこんなのがオシャレだよね」、そんな風にそれぞれを個別に考えていると、「らしさ」が伝わらず、結果として選ばれない結果となってしまいます。
例えば、ロゴ制作を考えてみましょう。
大切なのは、ロゴが「らしさ」を象徴するシンボルになっているかです。
「らしさ」を構成する理念や想いや強みなどの一つ一つをデザインに反映させていく作業を繰り返しながら、「らしさ」が抽象化されたロゴを制作していくことが重要です。
ホームページやパンフレットなどの制作でも同じです。「らしさ」が伝わっているか、「らしさ」を伝えるにはどうすればいいか。そこをただただ考え、顧客とつながるポイントすべてにおいて「らしさ」が伝わるように設計していくことが大切です。それがブランディング活動です。
■ まとめ
- ブランディングとは「『らしさ』が100%伝わっているカタチをつくること。
- 『らしさ 』とは、「理念」×「提供価値」。この2つを明確にすることが最初のステップ
- 理念とは「社会の中での存在意義。どう社会に貢献するか。その想い。」である。
- 提供価値は「モノ」と「コト」の2軸で考える。
- 一貫性を持って「らしさ」を発信し続けることで、強いブランドを築ける。
■ 埼玉県の中小企業のブランディング事例
弊社が行った埼玉県の中小企業のブランディング事例をストーリーとしてまとめています。
ブランディングというと大手の会社のイメージがあるかもしれませんが、中小企業でも顧客から選んでもらうための手段としてブランディングは有効であり大切です。
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市場環境が大きく変化している中で、顧客に選ばれ、選ばれつづけるためには、「らしさ」に共感してもらう必要があります。
弊社では、ホームページやパンフレットやロゴを作成するにあたって、「らしさ」を言語化することからサポートいたします。
「らしさ」の見える化からしっかり取り組みたい、そんな時は、ぜひお気軽にご相談ください。