なぜターゲットを絞ると市場が拡がるのか?
中小企業診断士の田中大介です。
ターゲットを絞ることの大切さは感覚としては分かっていますが、その理由をスパッと説明できていませんでした。
昨日、北の大地水族館やサンシャイン水族館のリニューアルに携わり、来館数を何倍にもした水族館プロデューサーの講演を聞いてきました。
そこで、ターゲットを絞る、ということが理解できた気がしました。
手掛けた水族館で、大人を狙って集客しよう、ということで、「デートに使える水族館」というコンセプトを掲げたそうです。
カップルにターゲットを絞ったわけです。
「カップルしか来なくなっては困る。」という反対意見が多かったそうですが、理解できますよね。
でも、結果としては、カップルはもちろん、カップル以外の大人の来館も大きく増えました。なぜでしょうか。
きっと、大人の側で、「デートに使える」というキーワードから、具体的なシーンのイメージが喚起されたんではないかと思います。
「デートに使える」→「落ち着いた雰囲気なんだろう」といった感じです。
こうして、実際には「デート」ではないケースにも使われ、大人の来館が増えたわけですね。
イメージが湧きやすい身近な「モノ」や「コト」を引き合いにしてアピールする。
そうすることで、そこに付随するイメージが喚起され、「自分事」になるんだと思います。
「自分事」にならなければ、「ふーん」で終わってしまい、行動につながらないでしょう。
ここに、ターゲットを絞ることで逆に市場が広がる、ということの本質があるのかな、と思います。
「小京都」なんていうネーミングも、身近なものに引き寄せた例と言えそうですね。「京都」に付随しているイメージを拝借する。
真正直にアピールするのではなく、生活に密着した「モノ」「コト」を引き合いにできないか?
その視点は持っていたいな、と思います。