「ビフォー・アフター」の『後のアフター』に注目でロングセラー!
中小企業診断士の田中大介です。
日経MJより気になった記事をピックアップします。
ダイエットDVD「ビリーズブートキャンプ」や腹筋マシン「ワンダーコア」のヒットを生むテレビ通販「ショップジャパン」が、顧客の声を聞いて商品の「その後」を訴求することで「ロングセラー商品」を生んでいる、という記事です。
2007年に大ヒットしたエクササイズDVD「ビリーズブートキャンプ」のブーム後の教訓を活かして一発屋を脱却し、安打製造機に変身。パンチの効いたテレビCMばかり目立つが、その裏に消費者の声を徹底的に集めて生かす「ビフォー・アフター・アフター」戦略があった。
挙げられているトイレクリーナーの例が分かりやすいので整理しましょう。
まず「ビフォー・アフター」はこうです。
「トイレクリーナーを使ったら、トイレがきれいになった。」
「モノ」としての機能の訴求、とも言えますね。
では、購入した後、つまり「ビフォー・アフター」の「後のアフター」はどうか。
「トイレがきれいになり、友人を家に呼んでホームパーティーを開いた。」
「義母を家に呼びやすくなった。」
こうした消費者の声を聞き、ビフォー・アフターの「その後」にフォーカスして販売戦略を練る。
これはよく言われている、「モノ」を売るのではなく、その先にある「コト」を売れ、ということと同じですね。
「ビフォー・アフターの『後のアフター』こそ、本来お客さんが望むもの」
まずは「モノ」としての機能の良さをユニークなCMに乗せて伝え、販売する。
そこから、売って終わりではなく、購入者と連絡を密にして「その後」を聞き、生活面で豊かになった「コト」を集めて、「コト」を訴求する販売に切り替える。
こうした2段構えでロングセラーを作っていくのが、「ビフォー・アフター・アフター」戦略です。
CMで大々的に「モノ」としての機能をアピールすることは、なかなか中小企業は真似することはできませんが、アフターフォローとともに「その後」を聞き、次の販売戦略を練っていく手法は取り入れられそうですね。
別の面にあるクレーム対応の記事を読んでいて、「おっ、これも、ビフォー・アフター・アフターだ」と感じたのであわせてピックアップしましょう。
「時間をかけて話をきくことが大事」。例えば「カーナビが壊れた」と怒る顧客の話をじっくり聞いていると「家族とドライブに行けなかった」ことへの怒りが問題の本質と分かった。ドライブを台無しにしたことを心からおわびすると「気持ちが通じた」として矛を収めてくれた。
クレーム対応でも、正常→問題発生という「ビフォー・アフター」の「その後」に寄り添うことが大切なんですね。
「ビフォー・アフター・アフター」という見立て、覚えておきたいと思います。