消費者の「縮む財布」に対して「値下げ」か「絆づくり」かどっち?
中小企業診断士の田中大介です。
本日5月18日の日経MJの記事から、今後の小さなお店の販売戦略について考えてみようと思います。
まず一面で目に飛び込んでくるのが「デフレ再び?縮む財布」という見出し。
消費行動ががらりと変わってきた。昨年末以降、高くても上質なお気に入りを買う「ちょい高消費」は落ち着き、値引きセールに消費者が詰めかける光景が目立つ。消費増税への不安も財布のひもを固くする。
消費者の「縮む財布」に対して、小さなお店はどう対応していけばいいのでしょうか。やはり値下げでしょうか。
一方で、最終面のコラムの見出しは「今こそ顧客との絆作り」で、ニューズレターの発行により顧客とコミュニケーションを取る重要性が書かれています。
「値下げ」か「絆=関係性作り」か。
私は、どちらが小さなお店が取るべき戦略か、と問われれば、「絆=関係性作り」だと考えています。
「値下げ」では、規模のメリットが効く大手にとてもかないません。
値下げで利益を上げる難しさを数字で考えてみましょう。
定価1,000円で、仕入れ値が600円、粗利が400円の品があるとします。
1)定価で販売した場合
2)20%引きで販売した場合
さて、2,000円の粗利益を出すのにそれぞれ何個販売しないといけないでしょうか。下の図を参照ください。
この品の場合、20%引きで販売することで倍の個数を売らないといけなくなります。
値引き販売では、どうしても数を多く売らないといけません。そのために宣伝もより多くしないといけないですし、売るための人件費も必要になります。売れ残りのリスクも高いでしょう。
この例の場合、20%引きで100人に売るより、「定価でもいいからあなたの店で買いたい」と思ってくれるお客さまを50人作る。宣伝費や人件費が少なくすむことを考えれば40人でもOKかもしれません。
安易な値引きは利益を大きく減らしてしまいます。
商品やサービスに見合う値付けを誇りを持って行い、得た利益をお客さまの満足のための投資という形で還元していく。こうして顧客満足を高め、絆=関係性を築いていくことがこれからの商売でますます大切になってくると思います。