客単価を上げる中小企業の発想法。プレミアムメニューで売上を伸ばす。
こんにちは、カケハシ・スタイル代表で中小企業診断士の田中です。
「売上を伸ばしたい。客単価を上げたい」というご相談、最近とても増えています。
人口減少、競合の増加、ネットでの比較検討。市場は成熟し、新規のお客さまをどんどん獲得していける時代ではなくなりました。
そんな今、改めて大切になるのが「客単価」という発想です。今日は、最近の支援現場から3つのケースをご紹介しながら、客単価アップの考え方をお伝えします。
なぜ今、「客単価」で勝負する発想が大切なのか
売上は、シンプルな式で表せます。
売上 = 客数 × 単価
このうち「客数」を伸ばし続けることは、市場が成熟した今、年々難しくなっています。広告コストも上がっていますし、ライバルも増えています。
だとすれば、もう一方の「単価」をどう上げていくか。ここに発想を切り替える必要があります。
ただし、誤解しないでいただきたいのは、「客単価を上げる」=「値上げ」ではないということ。お客さまが進んで選びたくなる高い選択肢をつくっていく、という話です。
価格は「価値の対価」。価値を増やし、伝える
そもそも価格とは何か。
私はシンプルに「価値の対価」だと考えています。お客さまは、自分が得られる価値に見合った金額を支払う。だから、価格を上げたいなら、原則は2つです。
- 提供する価値を増やすこと
- その価値をしっかり伝えること
そして、価値を増やす一番の近道は、自社にすでにある武器を総動員して、提供できる最大の価値のメニューをつくることだと、私は思っています。
新しい強みを足す前に、今持っている強みを組み合わせる。それだけで、見える景色は驚くほど変わります。
それでは、現場のケースを見ていきましょう。
ケース1:お寿司屋さん ― 高いランチが選ばれる理由
先日、地域に長く愛されるお寿司屋さんから集客のご相談をいただきました。
ランチには2つの価格帯があるのですが、お聞きすると、安い方より高い方がよく出ているそうです。さらに高い「特上」を選ぶ方もいる。
これは何を意味しているのか。お客さまは、「安いお寿司」を求めて来ているのではない、ということです。お寿司屋さんでしか味わえない贅沢な時間、ここでしか食べられない美味しいもの。そういう特別な時間を求めて足を運んでくれている。
このお店には、職人のこだわりが詰まっています。光り物は手間をかけて丁寧に仕込む。穴子は一手間かけてふわっと仕上げる。天然まぐろは一本買い。これらは、すでにある立派な武器です。
そこで一緒に考えたのが、季節ごとの旬のメニューを打ち出すこと。職人のこだわりが伝わり、リピーターには「また行きたい」という理由が生まれる。SNSで継続的に発信できる素材にもなります。
さらにこのお店、和室を仕切れば個室にできるという強みもありました。平日夜は完全個室の運用に切り替えて、家族のお祝いや会食に適した「特別感のある個室プラン」をつくる。
新しい強みを足したわけではありません。すでにある強みを言葉にして、組み合わせて打ち出しただけです。それで、客単価の高い利用シーンに、しっかり届くようになります。
ケース2:蕎麦・うどん店 ―「全部のせ」で価値を一皿に凝縮する
別の現場では、蕎麦・うどん店の方からご相談を受けました。お悩みは、まさに「客単価」。客数は多いのに、一杯あたりの単価が低くて売上が伸びない、というものです。
お話を聞いていくと、トッピングは天ぷら、きんぴら、山菜、月見と、とても豊富にありました。でも、それらは個別の追加トッピングとして並んでいるだけ。
ここでひとつ、ラーメン屋さんを思い浮かべてみてください。
メニューの一番上に「全部のせ」や「特製」が載っていることが多いですよね。チャーシュー、味玉、メンマ、海苔、ネギ……全部のせた一杯。つい頼んでしまいませんか。
逆に、シンプルな一杯と「トッピング一覧」しかなかったら、どうでしょうか。4つも5つもポチポチ追加するのは面倒ですし、「まぁ、普通のでいいか」となりがちです。
そこで一緒に考えたのが、トッピングを全部のせた1,000円のスペシャルメニュー。既存のオペレーションで対応できますし、写真映えするので口コミやSNSにもつながります。
お客さまは「ちょっと贅沢な一杯を食べた満足感」を得て、お店は客単価を上げられる。お互いハッピーな関係です。
ケース3:エステサロン ― 武器を組み合わせて、ここでしかない体験をつくる
もうひとつのケースは、エステサロン。フェイシャル、ボディ、よもぎ蒸しと、メニューは充実していました。
新規のお客さまに来てもらうために、つい「安い単品メニュー」を打ち出したくなる。でも、それでは他店との差別化ができず、価格でしか比較されません。
そこで一緒に考えたのが、「よもぎ蒸し × 毛穴ケア × マッサージ」を組み合わせた、このサロンならではの体験メニュー。代表のフェイシャルの専門性、こだわった高品質なよもぎ、丁寧な施術。すでに持っていた武器を掛け合わせるだけで、他店にはない、価格的にもしっかりとした商品が生まれました。
単品では伝わらない「ここでしか受けられない価値」が、組み合わせの中から立ち上がってくる。これも、武器を総動員する発想の一例です。
プレミアムメニューが、店全体の価値を伝える
3つのケースに共通しているのが、「プレミアムなメニュー」をきちんと用意した、ということです。
実はプレミアムメニューには、それ自体の売上以上のメリットがあります。
それは、お店全体の価値を伝える役割です。
メニュー表に高い選択肢があるだけで、お客さまは「このお店はちゃんとした素材・技術で勝負している」と感じます。その安心感があるからこそ、定番メニューも自信を持って選んでもらえる。
旅館の松竹梅のような形で、「松」があるからこそ「竹」が選びやすくなる。プレミアムメニューは、お店の世界観や提供価値の「ものさし」になるのです。
まとめ:単価で勝負する発想を持つ
最後に、ポイントを整理します。
- 市場成熟期。客数を伸ばし続けるのは難しい。単価を上げる発想が欠かせない
- 「単価アップ」 = 「値上げ」ではない。進んで選ばれる高い選択肢をつくる
- 価格は価値の対価。価値を増やすには、自社の武器を総動員する
- プレミアムメニューは、客単価だけでなくお店全体の価値を伝える
ぜひ、皆さんもメニューや商品ラインナップを見直しながら、「自分たちにとってのプレミアムメニューは何だろう?」と考えてみてください。
カケハシ・スタイルにご相談ください
カケハシ・スタイルでは、中小企業診断士 × ブランディングディレクターの視点で、御社の強みを丁寧にヒアリングし、メニューや商品ラインナップ、価格戦略の整理を一緒に考えます。
そして、強みを伝えるWebサイトやパンフレットなどの制作までワンストップで承ります。
「客単価が上がらない」「自社の強みをどう商品に組み込めばいいかわからない」とお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。