平均化・均一化に抗うことで、豊かさが生まれる。

こんにちは、カケハシ・スタイル代表で中小企業診断士の田中です。
JR南武線の登戸駅の「ご当地メロディ」が廃止されるというニュースを見ました。
「ドラえもん」の主題歌が流れることで地域性を感じさせていたこの試みも、人手不足によるワンマン運転化の影響で消えてしまうそうです。
先日、東北へ電車の旅に出かけたとき、乗車案内板がなくなっていることに淋しさを感じました。
私が子供の頃は、駅のホームの上にワイヤーが通っていて、そこに「特急とき 9号車 自由席」とか「寝台特急 天の川 B寝台」といったプレートがぶら下がっていました。
新幹線網ができ、特急や寝台特急がなくなり、ロマンいっぱいだった電車は、単なる移動手段に変わってきているのを感じました。
秋田駅から乗った在来線は、ボックス席ではなく、ロングシートでした。
JRは車両の規格化を進めているそうです。赤い電車が来たり、黄色い電車が来たり、そうした楽しみもなくなってきています。
どんどん効率化の方向で進み、世の中は、平均化、均一化してきています。
平均化、均一化した世の中は、確かに効率的で便利なんだろうけど、そこにワクワク感はありません。
その土地、その場所、その人、そのモノからしか得られない体験。そこに豊かさがあるはずです。
豊かな世の中には、効率化から外れるものも必要なはずです。
誰かが、一件すると「無駄」だったり「余白」だったりするものを提供しないといけないと感じます。
そこを担うのが小さな会社・お店の役割なんではないかとも思います。
弊社が運営しているカケハシ・レコードは、音楽CDをネット販売しています。
効率化を考えると、Apple Musicなど配信で事足りてしまいます。
でも、それだけだとワクワク感を感じない。かつでの町のCD屋には、店主とのコミュニケーションだったり、偶然の作品との出会いがありました。CDを所有する喜び、少しずつ揃っていく喜びがありました。
「この線路は秋田までつながってるんだ。ここから出発するブルートレインに乗れば秋田まで行けるんだ。」
子どもの時にロマンを感じさせてくれた「乗車案内板」のような役割をカケハシ・レコードは担い続ける必要があると思っています。
AIを活用して仕事をすることは否定しませんし、私も仕事で使い恩恵を受けています。
でも、それだけになると良くない。そこで生まれた時間で、平均化・均一化とは逆ベクトルの価値提供を行う。
その時間への意識が今後ますます大事になってくると思っています。