中国向け越境ECが加速しそう!?
中小企業診断士の田中大介です。
8月2日の日本経済新聞より「日通、アリババと提携」という記事をピックアップします。話題の越境EC(海外の消費者へ輸出するネット通販)についてですね。
日本通運は中国EC最大手のアリババ集団とインターネット通販事業で提携する。中国の消費者がアリババの通販サイトで日本の商品を購入する場合、日通はEMSより3割安い料金で中国まで輸送する。
EMSより3割安いというのは嬉しいですね。
500グラムまでのものを送る場合、
EMS :1,400円
日通:1,000円
となるわけですね。この差は大きいでよね。
中国への越境ECでは、税制が複雑なんですが、通関業務も請け負ってくれるようです。
煩雑な事務手続きをカットできるのも嬉しいですね。
最近、支援先が越境通販を検討していて色々調べているのですが、中国向け越境ECは、物流、税制ともに複雑です。中国向け越境ECを簡単にまとめてみましょう。
【大手ECサイト】
BtoCのECサイトでは、アリババの「天猫(Tモール)」と京東集団(JDドットコム)が2トップです。
天猫(Tモール) – 日通と提携
https://www.tmall.com/
京東集団(JDドットコム) – ヤマト運輸と提携
http://www.jd.com/
【物流】
中国向け越境ECの物流では、「直送モデル」「保税区モデル」という2つのモデルがあります。「保税区」は中国向け越境ECならではの仕組みですね。
図表は、経済産業省所管の中小機構が運営するサイト「海外ビジネスナビ」の資料より抜粋します。
「海外ビジネスナビ」は、すごくオススメです。
■ 直送モデル
■ 保税区モデル
今回の日通の業務提携により、直送モデルの利便性が高まりそうですね。
【税制】
中国向け越境ECでは、「関税」「増値税」「消費税」「行政税」が課されます。
4月に越境通販の通関制度の改定が発表されたものの、5月に一部が延期になったり、「で、いったい現場はどうなっているの?」という感じで、情報が錯綜している状況です。
これまでは、50元以下(1元16円の換算で800円)の商品は免税でしたが、4月の改定で免税はなくなりました。
一方で、商品カテゴリによっては、増値税や消費税が減税となるため、例えば、アパレルや電化製品などでは、250元以上(1元16円の換算で4,000円)の商品は改定により税金が安くなります。
さらに4月の改定では、商品内容、金額、物流データなどの情報を電子データで提出することが求められるようになりました。
日本の小さなショップや会社が税制の改定や通関に関する最新の情報を得て、すべてを自前で行うことは正直、困難な状況です。
日通やヤマトなどの運送会社が物流と税制面を請け負ってくれるようになれば、嬉しいことですね。
経済産業省の推計では、中国向け越境ECは、これから市場規模の拡大が予測されています。今回の提携で、中国向け越境ECが加速することを期待します。