ジャズのアドリブに学ぶコンサルティングの本質
株式会社カケハシ・スタイル代表で中小企業診断士の田中大介です。
『すごいジャズには理由がある―音楽学者とジャズピアニストの対話』という本を読んでいます。モダン・ジャズの巨匠たちの凄さを音楽的に解説している本で、音楽学者の質問にジャズピアニストが回答する形で進んでいくのですが、ジャズピアニストのフィリップ・ストレンジさんの回答が本当に素晴らしい。
ジャズの本なのですが、コンサルタントとしてもとても勉強になります。
例えば、アドリブについてフィリップさんが挙げた下記のポイントに本当に痺れました。
「原曲の歌詞を知らずに弾かない」
「原曲を大事にする(Honor the piece)」
ジャズのスタンダードナンバーは、ミュージカル等の歌が元になっているものが多いのですが、ジャズになるともちろん歌詞は入っていません。スタンダードナンバーを演奏する時に、原曲を知らなくても演奏はできます。でも、フィリップさんは「原曲の歌詞を知る」ことを大切にしている。この言葉に、なにかビジネスにおいても大切な姿勢を学んだ気がしました。
コンサルティングにおいては、「伴走支援」という言葉があります。伴走するとはどういうことか、私はよく考えます。経営者に伴走するような支援がしたい、と考えています。フィリップさんの言葉をコンサルティングに当てはめると、こうなるでしょうか。
「会社の成り立ち、沿革、経営者や従業員の想いを知らずにアドバイスしない」
「経営者の想いを大事にする。敬意を持つ。」
ビジネスにおいては、やらなくても上辺としてはできてしまうことってたくさんあると思います。会社の歴史を知らなくても、一般的な経営のアドバイスはできます。経営者の想いを深く理解していなくても、それっぽい提案書は作れます。でも、そこをやるかやらないかでアウトプットの質は変わる。
弊社でホームページやパンフレットを制作する際には、経営者に時間をかけてヒアリングをします。創業の経緯、これまでの歩み、事業への想い、今後のビジョン。これらを丁寧にお聞きすることで、はじめて「らしさ」が見えてきます。
ジャズピアニストが原曲の歌詞を知ることで演奏に深みが出るように、会社の成り立ちや経営者の想いを知ることで、はじめて「らしさ」が伝わるアウトプットができる。
徹底してインプットすること。経営者の想いに敬意を持つこと。それが伴走支援やブランディングサポートの第一歩だと、改めて心がけていこうと思います。