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600社以上の経営支援から導いた「価格転嫁を考えるポイント」

株式会社カケハシ・スタイル代表で中小企業診断士の田中大介です。

日々、経営支援で様々な会社・お店の経営者の話を聞いています。価格転嫁がうまくいったところ、うまくいっていないところがあります。
値上げをしたいけど、大丈夫だろうか、という相談も受けます。
私が知っている限りでは、価値に見合う価格に値上げしているところで、失敗したところはありません。
逆に、「ランチは1,000円以内じゃないと」のように固定概念に縛られ、値上げしていないところは、利益率が落ちているケースが多いです。

価値に見合う価格設定

ポイントは、「価値に見合う」というところです。
ランチで1,500円が高いのかどうか。これは、価値に見合っているかで変わります。
例えば、下記のようなパスタランチがあったとします。

  • 平飼い卵と地元牧場のチーズを使ったカルボナーラ
  • 麺は地元産小麦を使った自家製麺
  • サラダの野菜は、自家農園で無農薬栽培
  • 自家製のにんじんドレッシング

これで1,500円は高いでしょうか? 私はむしろ安いと感じます。
これだけこだわった食材を使い、手作りしているという価値に対して、1,500円は安いでしょう。

私は、経営支援において、下記のような会話をよくします。

私:「あなたができることを結集して最高のメニューを作るとしたら、どのようなもので、その価格はいくらですか?」
経営者:「◯◯のような素材を使って、◯◯のように作ったら、2,000円ぐらいはいただけると思います。」
私:「では、2,000円でそのメニューを出しましょう!」

2,000円の価格をいただける価値提供が、この経営者はできるわけです。それだけの技術、ノウハウがある。
それなのに、一般的なメニューで1,000円で提供していたら、顧客にとっても、経営者にとっても、もったいないわけですね。
本来提供できる価値、受け取れる価値が減ってしまっているわけです。
自分たちが提供している商品・サービスの価値はどれくらいか?その価値に対しては、どのくらいの価格が妥当なのか?
そのように考え、価値に対してしっかりと価格を提示することが大事ですし、そうして提示した価格はしっかりと受け入れられます。

価格設定の2つの方法

価値を元にした価格設定は、バリューベースプライシング(Value-Based Pricing) と言われます。直訳すると、バリュー(価値)に基づく価格設定ですね。
反対が コストベースプライシング(Cost-Based Pricing) です。原価に基づく価格設定です。
原価が500円だから、自分たちの利益は700円で、1,200円ぐらいが妥当だよね、という考え方がコストベースプライシングです。
技術を売る仕事、特に職人さんで、コストに基づく価格設定によって、価値よりも安く提供してしまっていることが多い気がします。
技術を磨くには長い時間がかかっていますし、多くの試行錯誤によって身につけた技術のはずです。さらに、研ぎ澄ました集中力で細やかに作ったものを、こんなに安く売っているの?ということは多々あります。
そのプロダクトにはどれだけの価値があるのか?
私は「いくらまでだったら自信を持って、お金をもらえますか?」という質問をします。
「2,500円までだったら自信を持ってもらえる」ということであれば、2,500円で出すべきですし、きっと受け入れられるはずです。

価格を受け入れてもらうには?

ただ、受け入れられるには、価値が伝わる必要があります。
ここにAとBの2つの米(5キロ)があります。
Aのパッケージには、米としか書かれていません。
Bのパッケージには「魚沼産こしひかり 減農薬米」と書かれています。
それぞれいくらで売れるでしょうか?
きっとBの「魚沼産こしひかり 減農薬米」と書いてある方が高く売れるはずです。

ここがポイントなのですが、実際の品質は分からないですよね?
Aの米も実際には「魚沼産こしひかり 減農薬米」かもしれませんし、もっとこだわって作った米かもしれません。
でも、その価値が伝わらなければ、お客さまはお金を払いません。
価値を認知する、その価値を価格に換算する、そして自分が想定した価格よりも安ければ顧客は買ってくれるわけです。
価値に見合う価格で売れるためには、価値を余すことなく認知してもらうことが大切です。
飲食店などの場合、私は「魚沼産こしひかり使用」とか「減農薬米」とか、価値はしっかり伝えましょう、と伝えています。

販売数が減っても利益は増える?

価格を上げると、顧客が減ってしまうんではないか、ということは誰でも危惧します。
ただ、価格を上げることで、利益は増えています。顧客が減っても、むしろ利益は増えるということはよくあることです。
例えば、今までは600円の原価のものを1,200円で売っていたとします。粗利益は600円です。
これを1,500円に価格改定したとします。そうすると、粗利益は900円になります。
価格は1,200円から1,500円の300円アップですが、粗利益は1.5倍です。
値上げ後に販売数が下がらなければ、利益は1.5倍になります。
例えば、値上げ後に20%販売数が減ったとします。どうなるでしょうか?

これまで(粗利600円): 600円 × 月200個 = 120,000円の粗利
値上げ後(粗利900円): 900円 × 月160個 = 144,000円の粗利

値上げをして1個あたりの利益が1.5倍になったことで、販売数が20%下がったとしても利益は上がっています。
さらに、消耗品費なども減るでしょうし、スタッフの時間にも余裕ができるはずです。

改定前
改定後
まとめ

値上げをしたい、というときは、改めて下記の3つの視点から考えてみてください。

  • 価値に見合う価格はいくらなのか?
  • その価格に改定した場合、利益はどれぐらい増えるのか?
  • どこまでなら顧客数や販売数が減ってしまっても大丈夫なのか?

この3つの視点で考えることで、自信を持って値上げができるはずです。
価値のある商品・サービスを作り、その価値をしっかりと伝え、その価値に見合う価格で提供することで、経営者も顧客もハッピーになる。
私はそれがあるべき姿だと思っています。

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