埼玉県商工会壮青年部研修会「生成AIのビジネス活用セミナー」を開催しました
株式会社カケハシ・スタイル代表で中小企業診断士の田中大介です。
令和8年2月25日、埼玉県商工会壮青年部の研修会にお招きいただき、「生成AIのビジネス活用セミナー」の講師を務めました。中小企業の経営者の皆さまを対象に、生成AIの最新トレンドと、実際のビジネスでの活用ポイントをお伝えしました。 今回のブログでは、セミナーの内容を振り返りながら、中小企業における生成AI活用のポイントを整理したいと思います。
■ 2025年、生成AIの勢力図が変わった
セミナーの前半では、生成AIの最新トレンドをお話ししました。
生成AIサービスといえば、多くの方がChatGPTを思い浮かべるのではないでしょうか。 しかし、2025年はGoogleのGeminiが大きく躍進した年でした。 AIモデルの性能差がほぼなくなり、「頭の良さ」だけでは差がつかない時代に入りました。

では、何で差がつくのか?それは、①画像・音声・動画を横断的に扱える「マルチモーダル」と②「AIを基盤としたサービス」です。
■ 画像生成AI「Nano Banana Pro」の衝撃
セミナーでは、Googleの画像生成・編集AI「Nano Banana Pro」を実際にお見せしました。
「Nano Banana Pro」が登場してから、既存の写真を使って、指示に基づき新たな画像を生成する精度が格段に高まりました。
セミナーでは、実際の活用例として、開発した試作品から実際の使用シーンを生成したり、飲食店が既存メニューを元に改善したメニューのビジュアルを作成したりする事例をご紹介しました。
中小企業の商品開発やプロモーションにおいて、大きな可能性を感じていただけたのではないかと思います。
■ NotebookLM ─ 「自分だけの専門家AI」をつくるツール
AIモデルを基盤としたサービスとして、衝撃的に凄いのがGoogleのNotebookLMです。
ChatGPTやGeminiが「物知りな相談相手」だとすると、NotebookLMは「自分だけの専門家AI」をつくるツールです。PDF、Webサイト、Googleドキュメント、YouTube動画などの資料を読み込ませると、その資料の内容だけを根拠にして回答してくれます。
セミナーでは、持続化補助金の公募要領(60ページ)を読み込ませた実例をお見せしました。 「うちは従業員8名の製造業だけど、この補助金に申請できますか?」「補助率と上限額はいくら?」「提出書類の一覧表を作って」といった質問に、的確に答えてくれます。60ページの公募要領を、直感的で分かりやすいスライドにまとめたり、ラジオ感覚で聞ける音声解説を作ってくれたり、めちゃくちゃすごいです。正直、診断士いりません・・・。それくらいのインパクトがあるツールです。
■ まず始めるなら、NotebookLMがおすすめ
「生成AIに興味はあるけれど、何から始めればいいのか分からない」という方は、まずNotebookLMを使ってみることをおすすめします。Googleアカウントがあれば誰でも無料で使えます。
やり方はとても簡単です。お仕事に関連するPDFファイルを1つ読み込ませてみてください。業界の規制文書でも、取引先から届いた資料でも、自社のマニュアルでも、何でも構いません。読み込ませたら、画面右側にある「スライド資料」というボタンを押してみてください。それだけで、PDFの内容が分かりやすいスライド資料にまとめられます。

これを見ていただければ、「生成AIってこんなことができるのか」と実感していただけるはずです。そこから、自由に質問してみたり、音声解説を聴いてみたり、少しずつ使い方を広げていけばよいと思います。
NotebookLMの活用範囲は非常に広いです。新しい設備のマニュアルを読み込ませて質問したり、改正された法規制の内容を読み込ませて自社への影響を確認したり、業務マニュアルを読み込ませて新人が質問できるAIにしたり。まさに「自分だけの専門家」を、誰でも簡単につくれる時代になりました。
■ 生成AI活用の鍵は「プロンプトの書き方」
セミナーの後半では、生成AIを実際のビジネスで活かすためのポイントをお話ししました。
質問があいまいだと、AIは「平均的な回答」しか出せません。 平均的な回答は、経営においては何の武器にもなりません。
セミナーでは、こんな例をお見せしました。 「総会の開会の挨拶を考えてください」というプロンプトでは、どこにでもあるような内容しか出てきません。 しかし、「埼玉県の寄居町商工会青年部の総会で、開会の挨拶をすることになりました。話す時間は1分なので簡潔な内容にしてください。『ふるさと祭典市』への出店が盛況に終わったこと、準備や当日の運営を通して青年部の絆が深まったことを内容に盛り込んでください。」とすると、驚くほど的確な回答が返ってきます。
背景情報を十分に伝えて、質問を「尖らせる」こと。これが生成AI活用の最大のポイントです。

■ 的確な回答を引き出す3つのポイント
具体的な方法として、3つのポイントをお伝えしました。
1つ目は、「役割を明確にする」こと。「あなたは飲食店の経営改善のプロフェッショナルです」と、AIに役割を与えます。
2つ目は、「求める成果を具体的に書く」こと。「既存客の来店頻度を増やすためのアイデアを出してください」と、質問を尖らせます。
3つ目は、「背景情報・条件を書く」こと。「創業30年の洋食店、鴻巣駅から徒歩10分、客層は40~50代の女性がメイン。最近、近くにファミレスができ、女性グループの飲食がそちらに流れている」と、現状を細かく伝えます。
これは、人間の部下に仕事を頼む時と同じです。「いい感じにやっといて」では良い仕事は出てこない。役割・目的・背景をしっかり伝えることで、初めて的確なアウトプットが生まれます。
プロンプト例として、①SNSコンテンツの企画、②ブログ記事の作成、③口コミへの返答、④新規事業の考案を具体的に見ていきました。
■ 「Garbage in, Garbage out」
セミナーの最後にお伝えしたのが、「Garbage in, Garbage out(ゴミを入れれば、ゴミしか出てこない)」という言葉です。
生成AIの出力の質は、入力の質で決まります。あいまいな質問からは、あいまいな回答しか返ってきません。 逆に、しっかりとした背景情報と具体的な質問を入力すれば、経営の武器になるようなアウトプットが得られます。
今のAIの性能であれば、必ず良い回答を出せます。回答の質が低い場合、問題なのは私たち側にあると考えないといけません。
■ 中小企業の生産性向上に貢献していきたい
弊社では、業務における生成AIの活用のサポートも行っています。「生成AIに興味はあるけれど、何から始めたらいいか分からない」「自社の業務でどう使えるのかイメージが湧かない」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。
最近では、介護事業者からお声がけいただき、業務における生成AIの活用をサポートさせていただいております。
人手不足や業務効率化は、中小企業にとって切実な課題です。 生成AIは、その課題を解決するための強力なツールになり得ます。
中小企業診断士として、AIを活用した中小企業の生産性向上にも貢献していきたいと考えています。
今回お声がけいただいた埼玉県商工会壮青年部の皆さま、ありがとうございました。