マーケティングとは「お客さまに選ばれ続ける仕組みづくり」
マーケティングをシンプルに考えてみる
「マーケティング」って、人それぞれ捉え方がきっと違うのではないか、と思います。
私もマーケティングを専門としながらも、ずばりこういうことです、と言えるだろうか。言えるかなぁ、いや、言えなければ!
ということで、そもそもマーケティングとは?ということを考え、自分なりに定義づけてみます。
マーケティングというと、市場調査や販売促進策をイメージする方が多いでしょうか。
ドラッガーは、マーケティングについてこんな風に言っています。
「マーケティングの狙いは顧客を知りつくし、理解しつくして、製品やサービスが顧客にぴったりと合うものになり、ひとりでに売れるようにすることである。」
「ひとりでに売れる」というところがミソですね。
「販売促進をしなくても、ひとりでに売れる状態」が、マーケティングが目指す「あるべき姿」と言えそうです。
コトラーによるマーケティング教科書の決定版『マーケティング・マネジメント』では、こんな風に定義づけられています。
「マーケティングとは、ターゲット市場を選択し、優れた顧客価値を創造し、提供し、伝達することによって、顧客を獲得し、維持し、育てていく技術および科学」
なるほど、「どうすれば売れるか?」という売り手主体の考え方ではなく、顧客が感じる価値を軸に、製品開発、販売、顧客維持を統合した、顧客主体の概念と言えますね。
ドラッガーとコトラーの定義を踏まえ、「要するにどういうこと?」とシンプル化してみます。
マーケティングとは「お客さまに選ばれ続ける仕組みづくり」である。
売り込まなくてもお客さまに選ばれ、お客さまとの関係性が続き、持続的に選ばれていく。そうした「あるべき姿」を実現するための仕組みづくり、と考えます。
マーケティング施策を考えてみる
マーケティングの概念が整理できたところで、仕組みのところ、マーケティング施策について考えてみましょう。
選ばれ続ける状態とは、お客さまの中で「シンボル化されている」と捉えることができます。
「シンボル化されている」とは、どういう状態でしょうか?
・商品・サービスに強みがあり、差別化されている
↓
・その強みがお客さまにきちんと伝わっている
↓
・お客さま満足によりファンとなり、お客さまが増え続けている
そんな「あるべき姿」を実現するための「打ち手」がマーケティング施策ですね。
「打ち手」を考える上で大切なのはコンセプトです。すべての「打ち手」にコンセプトをブレずに一貫させることが重要です。
コンセプトは、「誰に」「何を」「どのように」というフレームで考えることができます。
「誰に」 ・・・ ターゲットとニーズを考える
「何を」 ・・・ ニーズを満たす商品・サービスを考える
「どのように」 ・・・ お客さまが価値を感じるストーリーを考える
「どのように」は、お客さまの行動の演出です。どのようなシチュエーションで、どのような感情を持ってもらうか、をイメージし、お客さまが商品・サービスと出会う場を演出していきます。
「シチュエーション」 ・・・ どんな利用シーンが想定できる?
「エモーション」 ・・・ どうお客さまは感じる?
「コンセプト」を一貫させ、「商品・サービス」と「場」を洗練させることで、顧客価値を最大化できます。その先には「お客さまに選ばれ続ける」という「あるべき姿」があるはずです。
ということで、「マーケティングって一体全体なに?」という『概念』から、「んで、どうすれば良いの?」という『施策』へと視点を移しながらマーケティングをざっくり見てみました。『概念』と『施策』が一体となっているところがマーケティングの捉えづらさであり、奥深さと言えそうですね。
最後にもう一度、私の考えるマーケティングの定義です。
マーケティングとは「お客さまに選ばれ続ける仕組みづくり」である。